路面電車は未来の乗り物
 今週のゲストは「土佐電鉄の電車とまちを愛する会」代表幹事の浜田光男さんです。今日のテーマは「路面電車は未来の乗り物」です。
 100年前から高知では路面電車が走っていました。伊野の製紙工場の原料を運び、紙製品を運ぶ役割を果たしていました。自動車交通全盛のマイカー時代以前では、交通手段の主役でありました。環境意問題が意識される今、路面電車は注目される存在になっています。
 「エネルギー効率」から言えば、1台の車を1人が運転するより、1台の路面電車に
何人も人が乗りあう状態は効率が良いし、排気ガスも出しません。環境に良い乗り物です。注目される可能性はあるのではないでしょうか?
そうですね。一両の路面電車で、運転も、ドアの開閉も、停留所案内も、料金の回収もしています。ヨーロッパの路面電車は1両ではなくて、2両、3両と連結して運転しています。なおかつ乗務員は運転手1人です。物凄く効率が良いですね。(料金は料金箱があり、乗客がきちんと支払っているそうです。)
 高知の路面電車の運行の形態が主流であるというのは別ではないでしょうか。新しい見方をすべきだと思います。
 高知県総合政策研究所が、最近「ユニバーサル・デザイン」の取り組みをしています。
そのなかで「交通バリヤフリー法」のなかで、低床式電車とバスが導入されたと聞いています。その後の事業の進展はどうなっているのでしょうか?
バスは低床式の車両が順次導入されています。路面電車は2億円近くの費用がかかりますので、すぐには導入できない部分があります。そこらへんで、どこから資金を引き出すのか。それが低床式路面電車が増えるかどうかの問題点ではないかと思います。
低床式バスは順次導入されています。 低床式電車は2億円するため資金が問題です。
かつて、高知県庁の交通政策課が、高知の公共交通の振興策を打ち出していました。効果はあったのでしょうか?
 例えば路面電車の車内に自動両替機が設置されたとか、あるいは耳の不自由なかたでも次の電停がすぐわかる。また目の不自由な人でもわかる。そういう対策の設備投資は公共交通プロジェクトチームはよくやったと思います。
 またみんなが高知の公共交通について振り向くきっかけになったと思います。
 今の路面電車が後100年継続するのではなくて、違った形で100年続くものだと考えてよろしいのでしょうか?
 そうですねその時代、時代に合ったような形に路面電車が進化していくような形にしないといけないですね。「昔懐かしい」で終わってしまいます。

高齢者や障害者にとりましてはまだまだ路面電車は使いづらい乗り物です。熊本市が車椅子で自力で乗り降り出来るシステムのようです。高知でも可能なのでしょうか?また「導入する場合」どの程度の費用がかかるのでしょうか?
 1人で乗り降りできるような車両はLRV,高知で言えばハートラムは車椅子で乗降可能です。熊本と異なり、1つしかありません。また安全地帯と呼ばれる停留所が道路の真ん中にあります。そこまで行くまでが大変です。いろんな障害がありますね。それをきちんと取り除きませんと1人で行きにくいと思います。せっかく道路の真ん中まで行きました。しかし電停の安全地帯の幅が狭かった。車椅子が乗れなかった。そういう事例もあるようです。取り巻く環境を変えませんと、ユニバーサルデザインにはならないということですね。
熊本電鉄の車両は自転車持込が認められています。
車椅子屋ベビーカーもらくらく乗降できます。
 電停とかそこまで行く道路の形状。まち全体を変えないと意味はないと言うことですね。
 路面電車の軌道の延長、ループ化計画はどうなのでしょうか?高知駅前から北へ延伸。
イオンまで延伸し、東西に軌道は分岐し、北部環状線沿いに走る。東は一宮からサンピア、美術館前をとうり高須へ。西は一ツ橋、福井を経由、市立高知商業前から鏡川橋へ。南も高知競馬場から瀬戸方面経由で桟橋へ。この程度延長すれば採算が合うのでは?実現性はどうでしょうか?非現実的でしょうか?
 アイデアとしては大変面白いと思います。ただ同じような低床式のバスを走行することは可能ですね。バスが走ったから黒字になるかと言えばなりません。またJRがワンマンカーで多くなりましたがそれでも赤字です。
 路面電車だけで黒字にするのは非常に難しいと思います。まちづくり全体で考えていきます。路面電車の部分をほかでカバーするとか。そう考えませんとこのアイデア難しいと思います。できれば非常に便利になります。
 高齢化社会の進展してきます。皆が皆自動車で移動するわけではありません。コストを考えた場合、自動車道路建設よりは路面電車敷設のほうが、費用は安いし、環境にやさしい。その構想を実現する方法手段はないのでしょうか?

パーク&ライドのモデル地区の高知市高須地区。85台の駐車可能。

浜田さんは都市の入り口部に数百台規模の駐車場をかまえ、都市中心部へは路面電車、路線バスなどを有機的に連結して活用すべきだと言われています。

 それこそ国土交通省が新設の路面電車には補助金をだしますと言っています。とは言いましても高知でいきなり新線建設は難しいと思います。私たちの方では、路面電車、路線バス、JR、自動車、自転車などありとあらゆる交通手段を「ゾーン」というとし、自由に乗降できるようにしたいですね。まず実験をすべきでしょう。交通政策実験を計画しています。
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