商品開発の苦労について
 今週のゲストは生活協同組合高知こだわりコープ専務理事である北岡徹さんです。今日のテーマは[商品開発の苦労について」でお話を伺います。
 食の安全に配慮し、自然生態系に配慮した商品づくり。しかし現在の日本の経済システムは「大量生産]「大量流通]「大量消費」「大量廃棄」が主流です。その流れに逆らい、消費者に安全な商品を提供するのは大変であると想像できます。
 量販店が特売している製品などでも北岡さんの立場から見られると「高い」ものがあるやに伺いました。例えばどのような製品なのでしょうか?
 

 そうですね、100円で特売されている豆腐などがありますね。これなんかでも100円は安いと思われますね。しかし中味の原材料の問題がありますね。


 外国産の大豆、しかも農薬漬けのものを、原料に使用します。しかも添加物だらけで豆腐を製造します。そういうものが殆どです。

 その上で生産者の利益分。中間業者の利益分。量販店の利益分を加算していますと、とんでもない倍、倍になり、原材料の安全性の問題と、利潤を考えていきますと、100円のものでも「非常に高い」と感じます。

北岡徹さん
購買側や消費者側もかなり勉強をしないと[こだわり]製品を追求できないと思います。そのあたりの対策は高知こだわりコープではどのようにされていますか?
 まずは商品カタログのなかに自分達が訴えたい内容をそのつど掲載しています。一般の募集チラシなどでも、例えば「国産小麦」について考えていただこうとか。そういうものを必ず提案していきます。
 組合員活動の中から、試食会、学習会を開きます。全体の中で学習会を開いたりしています。
昨年も所得番付の上位の経営者は、ダイエット食品販売と補正下着の会社役員でした。
正しいダイエットの知識を組合員に告知し、周知させることが大事ではないでしょうか?思いもかけない金額を中高年女性は費やしていますので。
 そうですね。ダイエットについては研究していませんので、なんとも申し上げられません。基本的には「ちゃんとした食事を採られているか」と言うことではないでしょうか。
 それと一番日本人で抜けていますのは運動ですね。運動されていない人が殆どですね。
 当たり前の食を、当たり前の生活をちゃんとおくれているかどうか。特にサプリメントに頼っている人が多くいます。サプリメントは8割がた添加物です。何が入っているのかわかりません。是非やめていただきたいと思います。
毎日見かけるダイエット食品やサプリメントの広告。
 
 以前番組ゲストで出演いただきました薬剤師の川添哲嗣さんも、「サプリメントは薬事法の対象外で健康補助食品されています。規制がない部分、わかなないことが多く危険です」とも言われていました。
 サプリメントは荒利益率が高いから、コンビニも売りたいのでしょうし。
 添加物の塊ですから。表示されていないのでわかりません。
 運動(スポーツ)が一番なのですが。みんな運動しませんし。北岡さんはなにかスポーツはされていますか?
 地域でバレーボールをしています。結構まじめにしています。実はこの間練習中に捻挫してしまい3週間は運動出来ません。学校にサークルがありますので、一緒にしています。
 チラシを見ますと食品が多いようです。化粧品などは取り扱いはされていないのでし ょうか?化粧品は肌に直接使用する化学製品です。昔私は塗料メーカーにいました。 工場設備その他は塗料メーカーも、化粧品メーカーも殆ど代わりません。
 化学物質という点では塗料も化粧品も殆ど代わらないものだと思いますが・・・。
 扱っています。より自然のものとか。余分なものを使わないこと。
 私たちの議論のなかでは、「化粧なんか不必要」という議論からしています。ただ社会生活では必要なものでしょうから、そうであるならば、納得のいく商品を提供しようとおいうことになっています。成分表示は100%しています。
 消費者の皆さんに申し上げたいのは、同じ工程でありながら、メーカーのブランド名で、100円で良いものが、何万円になる実態を理解いただきたいですね。そのあたりで消費者がメーカーに惑わされていると思います。
高知こだわりコープから生まれたヒット商品がありますか。ご紹介下さい。
 
 地場のものであれば、日配ものでパンなどがそうです。直接高知だけのメーカーでこしらえていただいています。国産小麦、無添加、生イースト、ないしは天然酵母。うちのパンは天然酵母で焼いています。
 市販のパンは柔らかい空気だらけのパンとは違いますね。美味しいです。
 また組合員から要望はあるが難しい製品があればご紹介下さい。あるいは取り組み中の製品などがありましたらご紹介下さい。
 一番難しいのは、より加工度が高いものです。加工度の高いものは、添加物を使用するケースが増えてきます。私どものコンセプトから言いますと外れます。
 

 この秋ちょうど展開しています。半焼成パンということで、半分ぐらい焼きあがったパンを冷凍でお届けしています。


 中味の小麦は北海道産。豆乳は非遺伝子組み換えの国産大豆。四葉バター。天然酵母。など安心素材だけでつくったパンです。
 家庭でオーブンで焼いていただければ、焼きたてのパンが出来上がります。


 国産小麦のグルテンの欠点で、美味しいパンが出来にくいことがあります。簡単に焼き上げのパンが出来ますので、こちらの製品をお奨めしています。

メーカーや施設からの提携の動きはあろうかと思います。そのあたりの動向はそうなっているのでしょうか?また高知こだわりコープのスタンスをお聞かせ下さい。
 そうですね。繰り返しにはなりますが、「国産原料100%、無添加」という基準があります。よくメーカーさんが持ち込みで良い物が出来ましたと来られます。例えば、その砂糖や醤油は何を使っていますか?すべてそういうことまでお尋ねします。主材料は出来ましても、塩や砂糖や油に至るまで「高知こだわりコープ」の考え方に沿って使用されているかどうかまでお聞きしますね。
 殆ど駄目な話が多いようです。そのあたり自分達のコンセプトにあった商品開発は難しいところです。
 小さくて力はないのに、言っていることは厳格ですから、こちらからメーカーに行きましても相手にされないことが多かったです。良いですよといわれましてもロットが多すぎましてさばけません。それがネックでした。

 豆腐などでも国産大豆100%使用でなく、国産大豆使用と書かれてあれば、国産大豆は50%以下しか使用されていません。当然遺伝子組み換え大豆かどうかはわかりません。
5%以内の混入はありえます。

 うちの豆腐は、国産大豆100%、非遺伝子組み換え産物です。にがりも土佐佐賀で海水から塩を製造している時出来るにがりを使用しています。それだけです。
 豆腐を製造する時、煮立てますと泡が出ます。泡が邪魔になるので、一般的には消泡剤という添加剤を使用します。うちはしません。ですから豆腐を製造しましても、他の大豆や添加剤を使用して豆腐を製造したら200丁は出来ます。うちのやりかたであれば、120丁しか出来ません。大豆の値段も何倍ですし。

 ただ近年デフレの影響で、メーカーも大量に売れないせいか、真剣に取り組んでいただける事例が多くなりました。これはチャンスであると考えています。