タイトル;「都市計画の視点から見た高知西武撤退問題」

               高知広域都市計画区域マスタープラン検討委員

               建設(都市計画)コンサルタント  漁師 明

概 要;

 高知市における、利用しやすい公共交通ネットワークを検討すれば、JR高知駅に交通ネットワーク拠点としての機能を確立させることが必須条件である。

 そして、そのためには、JRバスの他、分散している土佐電気鉄道や高知県交通・その他の全てのバスターミナルを高知駅前に集約しなくてはならない。 一方、西武デパートの有る「はりまや橋交差点」は、高知のまちづくりにとってポイントになる重要なエリアである。だから、特定の利害関係人のみに、その利用方法を託すのではなく、その権利を市が取得して、市民皆が時間をかけて自由に、土地利用計画について検討できるようにするべきである。 実は、高知のまちづくりにとって重要なこのふたつの難問を同時に解決できる方法がある。それは、西武デパート関係権利者と、高知駅前の拠点街区に換地を取得している県市とが、西武の価格相当分として換地の一部と交換することである。

内 容; ・利用しやすい公共交通にするには、全てのバスターミナルを高知駅前に集約しなくてはならない。 ・高知の「まちの顔」となる「はりまや橋交差点」の利用方法は、市民が自由にじっくり話し合って決めるべき。 ・西武の権利者と、高知駅前の拠点街区に換地を取得している県市とが、権利を交換することにより、高知のまちづくりにとって重要なこのふたつの難問を同時に解決できる。

まとめ(訴えたい事); 西武デパート関係権利者と、高知駅前の拠点街区に換地を取得している県市とが、権利を等価交換することにより、交通ネットワーク拠点の整備とはりまや橋交差点の有効活用という、高知のまちづくりにとって重要なふたつの難問を同時に解決しよう! 詳細説明; 高知における公共交通ネットワークを検討すれば、高知駅前周辺整備事業により確保されたJR高知駅の南北駅前広場やそれを囲む県市及びJRの拠点街区を活用して、「JR高知駅に交通ネットワーク拠点としての機能を確立させることが、公共交通ネットワーク整備の必須条件である」という結論に達することは、官民共に異論の無いところである。

 そして、高知駅を交通ターミナル拠点として整備するには、JRバスの他、分散している土佐電気鉄道や高知県交通・その他の全てのバスターミナルを高知駅前に集約しなくてはならない。 ところで、高知西武デパートの撤退に伴う跡地利用の意見の中に、高知西武からカルポートまでのエリア全体を再開発すべきという意見があるが、そのためには、数百億円の公費が必要となる。今の公共財政の状況では、このエリアにそれだけの公費の投入をすることは難しいし、まして費用対効果を考えればすべきではなく、非現実的である。  

 むしろ、西武デパートの土地建物の権利(権利者4名)を市が確保することにより、高知のまちづくりにとってポイントになる重要なエリアの土地利用計画を、市民皆が自由に検討できる権利を至急取得するべきである。しかしながら、市は利用計画未定のまま取得するとなると難しいので、市が高知駅北口前の拠点街区に換地として受け取っている土地の等価面積分と交換することにより、バスターミナルを高知駅に集め、駅前の交通ターミナルを同時に達成することが最良である。 その意味では、高知西武デパートの撤退は、高知における公共交通ネットワーク確立の千載一隅のチャンスであり、この機会を捕らえる事が出来なければ、百年の大計を失うことになる。官民一致協力して、是非このチャンスを生かして、利用しやすい公共交通ネットワークをつくりましょう!

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2002年3月1日