まちづくりと路面電車
 今週のゲストは「土佐電鉄の電車とまちを愛する会」代表幹事の浜田光男さんです。今日のテーマは「まちづくりと路面電車」です。現在路面電車のある日本の都市は19しかありません。
 まちづくりにおいても特色のある事が出来ると思います。「土佐電鉄の電車とまちを愛する会」としての作戦はあるのでしょうか?
環境問題という観点から路面電車を最大活用すべきであると思います。
数値目標を示して、通勤時の路面電車活用を呼びかけるべきだと思いますが。
 私も専門的なことはお話出来ませんが、実際に自動車がラッシュ時の渋滞で止まっているときの排気ガス量を考えますと、圧倒的に排気ガスを出さない路面電車が良いと思います。
少し観点を変えてお伺いします。サンフランシスコなどはケーブルカーが街のシンボルになっています。高知の路面電車も街のキャラクターになるべきであると思いますが・・。そのあたりのアイデアなり作戦はありますか?
サンフランシスコ市のシンボル・ケーブルカー。バスまでデコレーションされています。
 
作戦と言うよりも、普段路面電車が走っているから、それが当たり前だというのが高知の人達の感覚ですね。だから県外から来られた方。例えば高知でロケをする映画やテレビも、ちらっと高知の路面電車が写っています。これは高知の特色ですね。高知から全国発信しているのですね。高知の路面電車のよさをみんなが理解していただいたら、また違ってくると思います。
19都市しか路面電車がないというのは大変なことですね。ない都市からすれば「羨ましい」話であると思います。しかし高知の人は「当たり前」と思っていますね。それはプロ野球キャンプと同じで、毎年来るので当たり前だと思っていましたが、なくなって初めてその良さや経済波及効果、広報効果に改めて気が付くようなものですね。
 あと観点を変えてお伺いします。低床式路面電車について。現在導入されているのは1台だけでしょうか?将来増加する見込みはあるのでしょうか?
 出来れば良いと思いますが、高価な車両(1台約2億円)ですから、増えるのは現在の経済状況では難しいと思います。
 2両連結の低床式の路面電車ですね。
 3両連結です。ハートラムという車両です。確か2億円近くのお金がかかると聞いていますし。ただ高知ではないですが、松山、鹿児島、長崎、岡山、広島には超低床式車両が高知同様に走行しています。いろんな支援が増えますと低床式車両も増産が出来ます。流れさえ上手くできましたら、低床式路面電車は増加する可能性はあると思います。
熊本市交通局。日本最初の超低床式路面電車
広島市の低床式路面電車の運転席。
 流れをこしらえることが、「土佐電鉄の電車とまちを愛する会」のテーマでもあるということですね。
 そうですね。いかに自分達の会が「マニアの集まり」ではないのである。と言うことを理解いただければと思います。路面電車に感心のあるグループが、まちづくりにも関心があるということです。ああだ、こうだと議論をするなかで、良いことや良いアイデアがあれば提言していきます。そのことでより多くの人達に関心を持っていただこう。そう思っています。
 実際に松山市では「坊ちゃん列車」が路面電車の軌道を走行しています。それによって乗降客が増加しました。そのお陰で、低床式路面電車が一気に6〜7台導入されました。
 松山は「坊ちゃん列車」のスタートのときは、マラソンの高橋尚子さんがマドンナ役、小出監督が山嵐のスタイルで試乗をし、全国発信していましたね。
 現在土佐電鉄の路面電車は、道路中央部に電停があります。電停を歩道側に寄せ、電車軌道も歩道に隣接するようにすれば良いと思いますが。高齢者や車椅子の人達が乗降が安全になると思います。利用者も増加すると思います。国土交通省などはどのような見解なのでしょうか?
 新しいLRTの全国的なパンフレットなどでは、路面電車軌道を歩道のすぐ横に持ってくるプランになっています。また県政策総合研究所も「ユニバーサルデザイン・シンポジウム」で県庁前からはりまや橋周辺の軌道を歩道側になればこうなりますと、青写真を出していました。
 LRTの先進事例や、政策総合研究所の紹介事例などからも、電車を歩道側を走行させているところもあるということですね。
 政策総研は青写真で「こんな風になれば良いね」というプランを出しました。ヨーロッパでは実際にやっている都市はいくつかあります。
 現在高知市の電車軌道ですが、一部に芝生を植えられていますね。環境対策になっていますね。それに車がその上を走行するのは少なくなったのではないでしょうか。
 電車が走行しているところに車を止めるとどうなるか。それは誰がみてもわかりますね。
県庁前周辺にもバスレーンがありますね。しかしバスに乗っていればわかりますが、必ず駐停車している車があります。バスがわざわざバスレーンから外れて走行しています。
 マナーも問題ですね。駐車車両がなくなれば、こうした問題もスムーズに話しは進展すると思います。
東京の友人たちは路面電車に乗ることを楽しんでいました。特に女性に人気があると思います。テーマパークでも鉄道はどこでも人気があります。そうしますと路面電車をより活用するためには高知の街が面白くなくてはいけないと思います。
だと思いますね。
ヨーロッパに「トランジットモール」という考え方があるように聞きました。どのよ  うな交通システムなのでしょうか?路面電車と徒歩だけの街なのでしょうか?
中心商店街周辺から、車を締め出して、路面電車と徒歩でしか通行できないようにします。郊外では鉄道に乗り入れている路面電車が時速100キロ近いスピードで走行しています。
 トランジットモールへその路面電車が入りますとまちのなかに電車が溶け込んでいるように、ゆっくりと走行します。
 
 まさしくテーマパークのなかを走る電車や鉄道のようになっているということですね。
 そうですね。ディズニーランドにツーンタウンでしたか、路面電車のおもちゃがあったと思います。ああいいうイメージではないでしょうか。
 

 横山隆一さんも、ウォルト・ディズニーも鉄道マニアで、模型鉄道遊びを大人になってからもしていたそうです。ディズニーランドもその遊びのなかから出てきたようです。まちを愛する心。

 その心が路面電車と一体化となってのまちづくりが必要ではないかと思います。そのあたりはどう思われますか?

(お元気な頃の横山隆一さん。狩野信児さん撮影)

 いろんな人達が、路面電車に関して、アイデアや意見をだしていただきまして、「自分達のまちは自分達で元気にする」という形で進んでいくべきだと思います。そうなれば「高知だけの、高知ならではの面白い街」が出来るのではないか。と思います。