地域通貨の可能性は?
 
 今週のゲストは高知県特別職知事秘書の今城逸雄さんです。今日のテーマは「地域通貨の可能性は?」ということでお話をお聞きします。
 以前今城さんは高知商工会議所にて「地域通貨」について取り組みをされていました。何年か前に高知市の菜園場商店街で「エンバサ」という地域通貨が実験されていました。上手く行った点、行かなかった点、課題などおかまいない範囲でご意見をお願いします。
 そうですね。法人組合の商店街で地域通貨を導入したのは菜園場商店街が全国で最初でした。法律面で地域通貨とはなにか?と調べますとこれというのは想定されていませんのでなかなか大変でした。
 何がいいのか?何をしてはいけないのか?という手探り状態で始めました。そういう意味でシステムとして上手く行かなかったところもありました。通貨ですから一定流通しなければなりません。そう思いますとなんらかの仕掛けがいります。
 そうしますと事務作業もいり、なかなか大変なことがありまして上手く行きませんでした。
今城逸雄さん
他県での成功事例はあるのでしょうか?「クリン」とかいうのは聞いたこともあります。また香川でやっている「どんぐり銀行」というのも地域通貨なのでしょうか?
 どんぐり銀行は通貨なのかどうかはわかりません。「クリン」は北海道の栗山町の町長が「助け合いを促進しよう」ということで始めたもので、日本で先駆け的な地域通貨です。
 千葉には「ピーナツ」というのもあります。商店街と農家と連携しています。
 今、地域通貨は日本で550ぐらいあります。面白いのは政府もセミナーを開催したり、民間と一緒になって研究しています。国も地域通貨をなんらかの形で後押ししようというところが以前とは変わったところでしょうか。(総務省などが住民力を向上させるいために地域通貨を使用しようと後押しもしています。)
 高知県内でのその後の動きはどうなのでしょうか?
一時はたくさんあったようなのですが?課題があるとすれば何でしょうか?

2000年に高知商工会議所が試験的に菜園場商店街にて実験した地域通貨「エンバサ」

その様子です。

http://www.jcci.or.jp/machi/h000911kouchi.html


 高知県では、森林ボランティアをしていただいている方に対して県としては森林環境税を利用した地域通貨の発行をしています。受け入れをしている市町村にもともとあった地域通貨もありますが、それを含めて平成17年で10になっています。それぞれの地域でデザインされた地域通貨がそれぞれの地域の商店や施設で利用できるようになっています。
 間伐された面積に応じて地域通貨を発行する形でしています。間伐の市民ボランティアと連携してやっているのは全国でもまれなケースです。 
間伐作業や焼畑などにより森はより手入れが進みます。
 ミハイル・エンデを取り上げた「エンデの遺言」というNHKの番組を見たことがあります。エンデはゲゼルという人の「劣化する貨幣」に注目し、世界恐慌の中でも経済破綻を起こさなかったヨーロッパのある地域のことの紹介がありました。 地域通貨はアメリカやヨーロッパでは盛んなようですが・・?。
 そうですね。エンデが言われたのは、投機のお金と、パンを焼いて売ったお金、パンを買うお金とが一緒というのはおかしいのではないか。一生懸命働いて稼いだお金と、コンピューターのマネーゲームのお金は分けるべきだということですね。
 海外の事例では、アルゼンチンなどでは経済危機が継続していまして、10年ぐらい前ですか、「交換クラブ」というのがありました。RGTという通貨で参加が数10万人になり国境を越え、ブラジルやウルグアイやチリなどにも広がりました。バザーで食料品と日用品を交換する。自国の通貨が頼りないので生活を維持しようというとことですね。
 アルゼンチンの政府も公認していますし。地域通貨によってひとつのコミュニティが出来上がっています。ベンチャーの育成にもなっているようです。
 スイスの「WIR銀行」は中小企業の同士の物のやり取りの場合に「ビア」という地域通貨をスイスフランの他に使います。ちゃんと銀行としてなりたっているようです。
 日本にも農村社会の時代では、地域社会があり「賦役でお返しする」という慣行もあったようです。お金は介在していませんでした。お遍路さんの「お接待」もそうではないでしょうか?
 地域通貨の目的は2つあると思います。1つは循環する資金です。地域内を留めようということ。
 もうひとつは、「ありがとう」「お陰さま」の気持ちですね。それを繋ぐ「結い」の精神ですね。その2つがあります。特にお遍路さんなどはお世話になったからわたしもお返しをしましょう。その間に地域通貨のようなものを入れると、あまり貸し借りにならず、割合ドライなところもかましながら現代的にやれたらなと思いますね。
 

 高知県の森林環境税による「地域通貨券」は、NPO土佐の森・救援隊の「森林証券制度」をモデルに創設したものですが、内容的には全く異なります。『モリ券』は大森孟氏が提唱する「森林証券制度」(排出権取引にかかる諸制度)に近いシステムを目論んで、実際に運用されています。

 森林環境税による地域通貨券は単なる商品券の代用でしかなく、既成の補助金制度の域を超える施策とはなっていないところが残念です。

      (中嶋健造:NPO土佐の森・救援隊事務局長)

バーチャルこうち自然村 

http://shizen100s.exblog.jp/d2005-11-29

土佐の森救援隊

http://mori100s.exblog.jp/d2005-11-12

 高知県独自の「藩札」をこしらえるとか。県庁や県民各位の議論などは今はどうなっているのでしょうか?

 藩札をこしらえるのは面白いですね。でもなかなかそうした議論にはなっていませんね。
 まだそこまで県全体でどうのとはなっていないようですね。でも研究課題にはなるのではないでしょうか?
 政府なども地域コミュニティが円滑に動くためのツールとして、地域通貨にはかなり力を入れてしていますので。みんなの理解が深まれば進展する可能性はあると思います。
間伐促進の為に少なからぬ地域通貨が活用されています。
 
* 今城逸雄さん出演の「菜園場商店街の地域通貨を語る」 
  http://www.rkc-kochi.co.jp/daijiro/0101/010128.html
 
*地域通貨を活用した地域再生について             
http://www.ssk21.co.jp/text/T_04342.html
*IT関係者も関心のある地域通貨・電子マネー        
 http://cgs-online.hitachi.co.jp/glossary/kana/ta_005.html