情報処理能力と伝達能力を高める方法は?
 今週のゲストは朝日新聞社高知総局の篠塚健一さんです。今日のテーマは「情報処理能力と伝達能力を高める方法は?」でお話を伺います。
 情報化時代と言われる現代社会。大量の情報のなかで、埋もれてしまいそうな毎日ではあります。どのように情報を処理し、選別し、正確に相手に伝達する能力は現代人には不可欠です。どのように能力を高めれば良いのでしょうか?報道現場におられる篠塚さんに方法について伺います。
情報の発信源を見分け、「正確に情報を」取るためには、どういう態度が必要なのでしょうか?これは「世の中」の動向や、流れを読み取る能力ではないかと思われますが・・ 
まず大事なことは相手の話を聞けるかどうかということです。それが大きなウエイトを占めていると思います。話を聞くことは結構大変なことで、相手の言うことを理解しつつ、不十分なところは再度質問して取材みたいになります。自分のことを主張出来ても、相手の話を聞くことがなかなか出来ないという方が見受けられます。相手の話をしっかり聞けるかどうか、それに耐えうる自分のなかの思考力とか、コミュニケーション能力とかが一番の根本になる部分ではないかと思います。
 ヒアリングと質問力と言うことですね。
 報道関係者はどのようにして、情報を整理し、分別しているのでしょうか?地域をレポートする場合、特定の「情報源」の人はいるのでしょうか?また誰かれなく、取材されるのでしょうか?
 誰かれなく取材は出来るものですけど、例えばある程度情報のあるところに聞いたほうが良いです。ある村の観光について聞きたければ村役場へ行きます。一応の資料などをもらって聞きます。だけどそれだけでは一方的な見方ですので、民間の方でなにか活動されている方とかに聞きます。
 それとお互いの主張が違っている場合は、その間に立って自分も考えてみます。どうやったらその違いを繋いでいけるのか。そうやって自分のなかで模索していきながら記事を作っていきます。
 私たちが驚きますには、選挙のときの事前調査や、出口調査も各報道機関だいたい当たりました。それは取材の結果なのでしょうか?電話調査などの「市場調査」なのでしょうか?
 参議院選挙の場合は、「中盤の情勢調査」で記事で書いているように電話による調査もしています。高知総局でやったわけではないですね。
 ただそれが「広田氏やや先行」という新聞社調査の結果が事前に出ました。結果的にそれが当たったということもありました。これはやはり朝日新聞を信用していただいて答えていただいた結果ではないかと考えています。
 取材の結果がそうなったということは、地道な普段の努力が結果をだしたことになるのでしょうか?
 マスを相手にした調査で全体の状況を掴めていたことは大きかったです。日々陣営であるとか、取材を積み重ねていまして、そのなかでもおおむねそういう結果が出るのではないかということが「肌でつかめた」部分もありました。
  文章を書く能力と評価についてです?篠塚さんの場合は、学生時代と、新聞社へ入社されてからは、文章力に変化はありましたか?
 文章の書き方は変化がありましたか?
朝日新聞高知総局の全景です。建物も最近リニュアールされ、充実した取材体制を整えているようです。
 一番変わった点があるとすれば、より相手にどう受け取られだろうか。ということを考えて書くようになったことですね。自分の言いたいことを言いっぱなしではなく、こう書いたらどう受け取られるだろうかと、どういう形で伝わるのだろうか。誤解は生じないだろうか。そう考えながら新聞の記事を組み立てていています。
 「相手ありき」という考えがより強まったということは間違いありません。
 街で火事があった。という記事などを入社されてすぐに書かされると思います。必要事項を手短に表現する技術は必要なのでしょうか?
 そのとうりですね。火事を出されたのであれば、その方の氏名、ご住所、火事の程度、原因までわかれば。怪我をされていれば怪我の程度。それはきっちり取材しませんとわかりません。
 特に住所などでも発表した資料がまれですけれども、間違っていることもあります。そういうのが怖い要素であります。確実にこちらは間違いなく書かなければなりません。責任を感じてこちらは書いています。
 かなり追求して、確認して、必要であれば直接確認する気持ちでしなければならないと思っています。
 好不況に関係なくマスメディア志向の若者は多数います。どこも相当の倍率であり、能力のある人たちが少ない採用枠を勝ち取るためにひしめいているようです。 報道志望の学生にたいし、助言されるとすればどういうところでししょうか?
 一言で言うのは難しいです。基本的にはいろんなことを受け入れて伸びて行ってほしいなと思います。そういう可能性を感じる人に関しては、温かい目になるのかなと思います。
 私は面接もやったことがあります。やはり差がつきますね。なにがついているのかというのは、はっきりとわかりませんが、「この子は」上位に何人かはいます。
 その子はなにが違うかと言いますと、素直なことですね。いろんなものを受け入れて、どんどん伸びていくのかなと予感を感じさせてくれる。そういうところもありますね。もちろん学生時代の過ごしかたでアピールするところがあれば、良いと思います。
大きな災害などの報道や、取材は特に慎重さが求められるようです。(写真は阪神・淡路大震災)
 読書量とか、社会常識などは当たり前であって、それにプラスするとすれば、どういう能力なのでしょうか?素直さなどもそうでしょうか?
 バランスよく物事を見ていくことですね。社会常識も読書量もたしかに必要です。これが何らかの思い込みに繋がってしまいますと、逆に良い記事に繋がらない事例もあります。そのあたりはバランスが大事ですね。
 報道志望の学生に最後に何を助言されますか?
 自分自身を見極めることです。なぜそこを目指すのか。自分自身をはっきりさせることです。そのために必要であれば何かに打ち込んでみる。
 いろなんなことで自分を発見することがあるでしょう。でも最終的には自分の意志ですね。