石とまちづくりについて
今週のゲストは寺尾産業有限会社寺尾石材店代表取締役の寺尾晴邦さんです。今日のテーマは「石とまちづくりについて」です。人類と石との係わり合いは深いものがありました。お墓や城砦以外にどのような活用方法があるのでしょうか? 石は耐久性にも優れ、薬品や紫外線にも強い性質があります。屋外建築物の用途はあると思いますが・・・
石屋は石が柔らかくて、弱いところをいっぱい知っています。心配なところはたくさんあります。ドイツとフランスを観光旅行したことがありました。石畳の道を大切に守っている文化に触れまして良いものだなあと思いました。

道路はアスファルト舗装が日本では全盛ですが、石材をしきつめた道路も可能ではないでしょうか?
ドイツへ行ったときです。ロマンテック街道というところへ行きました。幹線道路はアスファルト舗装されていました。歩いた道は石畳が多かったですね。きちんと石が並べられていまして、足にも気持ちがいいものでした。凸凹がありまして不揃いの部分もありますが、これがいいものだとおもいました。
車で走行しましたが、ぼこぼこしてなんとも気持ちが良いものでした。硬い石を使えばタイヤが滑りやすい。耐久性は良いのですが現代の車社会には危険ですね。柔らかい石は耐久性がありませんし。感触は良いけれどメンテナンスが大変ですね。
今年はアテネでオリンピックが開催されることもありまして、画像で昔の大理石造りの神殿とかが写りますね。建築物などで、石の使われかたは最近はどうなのでしょうか?
 
最近ではコンクリートでこしらえた表面を石で貼るという工法が殆どではないでしょうか?石は先ほども申し上げましたが、弱いところがあります。石そのものは崩れませんが、石と石をくっつけたり、組み合わせをするのは長く私用する面や、メンテナンスの面でも大変です。コンクリートのほうが技術は進んでしまいました。石は建築分野では「置いちょきや」(置いておけ)担ったのではないかと思いますね。
寺尾さんは最近はりまや橋サロンに臼を持ち込まれています。臼は石で作成されています。臼の効用についてはどのようなところなのでしょうか?
それは研究中ですね。それ臼に教えてもらおう、石に教えてもらおうと思いまして提案しました。それで作らしてもらいました。臼の直接の効用はわかりません。昔の風情の好きな方もいますね。私などはもともと見たことがありませんので、臼は「新しいもの」として捉えています。
寺尾さんは土佐備長炭を研磨され、独特の光沢を出されました。なにかひらめくものはありましたか?また様々な人達との交流が生まれるのでしょうか?
 
今後の研究課題ですね。
寺尾さんが提案される記念碑はどのようなイメージなのでしょうか?石のレリーフのようなものでしょうか?
記念碑は「建てた人の自己表現」であると言いたいですね。こういう人を讃える顕彰碑があります。歌碑もあります。それは自分の好きな歌が刻まれています。記念碑としては生誕地が多いのでしょうか。言葉を表現することも多いですね。高知市の中央公園の隅に碑があります。「自由は土佐の山間より出ず」という石碑が置いてあります。それを印刷物で見ても面白くはないですね。それを石に刻むと、表現の集大成として石の使い方としても一番良いのではないでしょうか。
高知市中央公園の石碑。公園東隅に設置されています。
記念碑やレリーフなんかはいいですね。確か五台山の兼山神社にも建立当時の高知県知事が直筆で書いた文字が彫られていました。見に行くとなるほどなと納得しますね。
実はその兼山神社も寺尾石材店の作品です。
石の採掘は無限なのでしょうか?火成岩は火山国日本では豊富にある資源なのでしょうか?
無限にある資源とは言えます。とは言いましても高知には火成岩はありません。出るところでも使う人がいて初めて採掘するわけです。今日本の採掘場はどんどん閉山しています。それは中国からどんどんいい石が入ってきているからです。商業的にいい石ということですけれど。資源としては無限にあるはずなのですが、なかなかいい石がずっと出続けるというのは難しいと思います。
石は先ほど記念碑などに使用されますとインパクトを与える効用があると伺いました。建築物として使用することには弱い部分もあると聞きました。後の石の使われ方。こんなことを石でしてみたいというようなことはありますでしょうか?
石畳の上を歩くのは良いなあと思いますね。ユニバーサルデザインということが今言われています。その「蹴躓く道路」を」つくるのはどうかと思われるでしょう。出来れば石のタイル張りではなくて、かまわない範囲で凸凹するような、うろこ張りとかいろいろありますけれど・・・。良いと思いますね。

米国ニューヨーク市のサウスストリートシーポート。その地域が「歴史博物館」になっており、町並みも復元されています。

道路も石畳に復元されています。

タイルではなく石畳のほうが寺尾さんは良いのだとお考えなのでしょうか?
歴史の重みを感じるような意識が芽生えるのではないでしょうか。人々の間で。