高知競馬は存続させるべきなのか?
 
今週のゲストは市民オンブズマン高知代表窪則光さんと、自治労高知県職員労働組合中央執行委員長の山崎秀一様です。今日のテーマは「高知競馬は存続させるべきなのか?」です。9月県議会の直前に高知競馬は黒字ということが報道されました。
窪さんは、「現在地に移転する前から巨額の赤字があり、しかも経営が出鱈目で
更に赤字を増大させてきた。高知競馬は存続させる価値はない」と言われています。
 ひとつのギャンブルに対して時代の流れを競馬開催の主催者が考えていなかった結果だと思います。戦後は競輪、競馬が盛んで一時ブームはありました。それからパチンコや競艇とか他のギャンブルも登場しました。今ではインターネットで中央競馬の馬券も買える時代です。時代の流れに逆らった経営感覚、それと儲けたものを県民に還元する事業です。根本的なことを忘れた事業に一部の人達が走った結果ではないかと思います。
なかには馬のお世話をされる方とか、裏方の人達は給料が安くて大変だと思います。経営者失格の公営ギャンブルであったと言えます。
山崎さんにお聞きします。労働組合のほうで、競馬関係にも労組があり、加盟しているようですね。お立場上、高知競馬は存続させるべきだと思われますか?
山崎 雇用効果で申し上げますと、現在でも高知競馬の効用効果は700人あります。調教師とか厩務員、従事員の方々、競馬組合の職員などで700人の雇用効果があります。大きい問題だと思います。あわせてこれまでの高知競馬の経過が大事だと思います。昭和57年までは黒字でした。競馬が県に入れたお金は63億円でした。競輪が高知市へ入れたお金は137億円でした。更に競馬上の資産というのは110億~165億ぐらいあります。資産があり、かつての黒字がありながら、長浜の現在地に移転した時に、建設費用の180億円を競馬公社に押し被せてしまいました。これが赤字の始まりです。
 経営センスの点では問われるべきだと思います。
地方公共ギャンブルの現状は厳しく、新潟競馬は廃止になりました。競馬法も改正になり、統廃合が推進されようとしています。松山市営競輪は中村市長の徹底したリストラ策を労組側が受け入れ、新たに競輪場を新築し存続が決まりました。高知競馬はのあたりはどうなのでしょうか?
窪 ようするに県の一般会計から補助金をもらって競馬を続けるのか?ということですね。公営ギャンブルというのは、収益を上げるから存続価値はあるのです。一般財源を補充しなければ存続できないということは、本来の趣旨からは外れることですね。そこまでして雇用を促進しなければならないのかと言う事ですね。問題だと思います。
それは高知競馬の経営者に問題があったといえるのでしょうか?
山崎 県、市から理事クラスが競馬組合へ出向しています。こういう問題のプロではないですから経営感覚が甘いです。中央競馬とのジョイントの問題ですが、競馬法が改正され出来るようになります。昔から直営で競馬を開催しているところは場外馬券を売っても良いことになっています。ということは相当早い時期からこういう方策に重点を置けば、経営的にもなんとかなったと思います。
それから9月期黒字を生み出しました。現場の人達はそれこそ「血を流す努力」をしています。馬主や厩務員に行く賞金は38%カットです。一等賞金14万です。1ヶ月馬を預けますと14万円かかります。常に1位を取らないといけません。現場の従事員も34%カットです。競馬組合の職員も10%カットです。懸命に経営努力をしていますので、今のところ自主経営できています。そういう部分は見ていただきたいですね。
 高知工科大学やPFI医療センターの問題にしましても、高知競馬の問題にしましても、最後につけが回ってくるのは県民なのですね。これだけの貧乏県が借金の保証人になっていいいのだろうか。仮に私に高知県知事や高知市長になれと言われましても、これほどの赤字が出ますし、将来も出るところは私は嫌ですね。
高知工科大学構内
中央競馬とジョイントする施策をすれば、高知競馬は浮上するのでしょうか?
山崎 今の景気ですからね。厳しいとは思います。しかしカット率をこれ以上切り下げマスと、馬主さんが高知競馬を辞めて、他の競馬場へ移る可能性だってあります。これ以上切り下げたら経営が危なくなると思います。ただこうした現状のなかで9月期はなんとかやれたので、申し少し見て上げられたら良いと思います。
景気が良くなるのがいつかわかりませんが、良くなれば一定の展望が開けて来ます。
先般武豊騎手が来たときはたくさん来場者が来ていましたが。企画力や運営自主努力も必要だと思いますね。
山崎 当然だと思います。色んなイベントもやっています。競馬場へ来ませんかというキャンペーンもやっています。中央競馬との乗り入れもやっていましてそうした経営努力は当然だと思います。

窪さんのほうから提案はありますか?
 私は中内知事のときからの方針である「一般財源に手をつけたら駄目だ」という「線引き」をしっかり守っていただきませんと。確かに努力は認めますが、公益ギャンブルというのは、一般財源に手をつけたら駄目なのだと今まで何回も言われてきました。競馬議員といいまして市会議員や県会議員も居ますから、当然チェックすることがわかっていたはずですから、あまりにも遅いのではないかと思います。