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海はすべてを教えてくれます

 yasu1989-m.jpg   「防錆屋の想い」の背景の写真は、1989年の中学生のためのヨット教室に指導員として参加した時のものです。

 わたしの休日の楽しみはセーリングです。ヨットには船室のあるクルーザー・ヨットと、組み立て式の小型艇のディンギー・ヨットがあります。わたしが楽しんでいるのはもっぱら1人乗りのシーホッパーというヨットです。

  活動しているハーバーは高知県香南市夜須町にあります。NPO法人YASU海の駅クラブが管理運営しています。荒天でない限り春夏秋冬セーリングが楽しめる海に面しています。

 わたしは1985年からヨットを始めました。24年目になります。学生時代にヨット部で訓練した経験はありません。ですので技量は上達せず、レースなどにも参加したことはほとんどありません。

 わたしにとって海へ出ることは、遊びであり、癒しです。でも命がけの真剣勝負の場でもあります。セーリングは前日の夕方から始まっています。体調を整え、深酒をせず、早めに就寝します。

 シートロープや備品などを入念に点検します。また海での服装も点検します。確認したうえで就寝します。

 セーリング当日の朝は、普段より少し早起きし、天気予報をチェックします。天気図で気圧配置を確認し、風が強いか弱いか、満潮・干潮の時刻も調べます。大きな天気概況を頭にインプットします。

 朝食はしっかり食べます。米飯でないと力が出ません。カレーが多いです。それとカロリーの多いお菓子があれば食べます。
 脱水症状を起こさないようにスポーツドリンクと水を持参するようにします。

 自家用車でハーバーへ向かいます。近くなりますと運転席側の窓をあけ、体感温度でチェックします。海の温度は車で陸上を走行している体感温度とほぼ同じです。それでセーリング前は真夏でも真冬でもエアコンは使いません。最初から外気温に身体を慣らすためです。

 ハーバーへ着きますと、持ち帰っていたヨットの備品を自分のヨットの前へ持ってきまして、組み立てます。ぎ装といいます。マストにセールを通してロープで巻きつけていきます。もやい結びと、八の字結びとクラブ・ヒッチという結び方でディンギー・ヨットはぎ装は出来ます。

 ヨットの場合はぎ装に時間がかかるため、手際よくやります。他のスポーツ、たとえばテニスやゴルフのように到着して準備運動してすぐにプレーするというわけにはいけません。

 ぎ装という作業はとても大事です。ぎ装しながら当日の海の様子、風の様子を身体で感じます。シートを強く締めるか。緩めるのか。微風仕様にするか。強風対策のぎ装にするかを判断することも大事です。

 日常の陸の生活から、海のセーリングにぎ装している間にリズムを切り替える大事な時間なのです。どんなにセーリングがしたくても風が強すぎてぎ装が出来なければ、当然セーリングが出来ません。その判断をぎ装している間にするのです。

 ぎ装が完成すれば、着替えます。そしてハーバーの事務所に出艇申告をしまして海へ出ます。ひとたび海へ出れば、どんなことがありましても帰着しないといけません。自己責任なのです。ですので「出艇しない」という勇気もまた必要です。「引き返す」勇気も必要です。

 常に海面上に視界を向け、突風が来ないか、風向きはどうかと遠くの海面を見ます。油断をしてはいけません。準備をし、予知できればたいていの海の上の事態には落ち着いて対処できるのです。

 せっかく楽しんでいても予想以上に、自分の技量以上に風が強くなると予感したらすぐにハーバーに向け進路を向け帰るようにします。さすがに24年もセーリングしていますと、予感が的中するようになりました。

  「自分探しなんぞより、自然体験を」

 子供たちが「外遊び」をしなくなって久しいと言われています。今は成人したわたしの子供たちも既に小学生時代にゲーム機が普及し、公園などでボール遊びをしなくなっていました。

 解剖学者の養老猛司さんは「自分探しなんてやめろ。無駄。それよりは自然体験しよう。」と呼びかけられていました。自然の中にいますと、風、波、匂い、音、足に感じる感覚など、人間の五感、六感がめまぐるしく働きます。しかも自然は同じ条件はありません。毎日変化しています。

 インドアで活動するよりは、自然体験すれば格段に得られる情報は格段多く、人間として学ぶことは多く、人間もまた自然の1部であることを感じることができます。

 海の中でセーリングすることも自然体験です。自分だけではなく、その体験の面白さを多くの人たちに体験していただきたい。そう想い休日はハーバーで活動しています。

 「自分探し」にこだわるより、自然体験をしましょう。山歩きや森林浴、間伐体験や、川でのカヌーもあります。その地方にあったいろんな方法があるはずです。

 海はすべてを教えてくれるのですから。自然の大きさを感じ、謙虚になれるからです。