サビ問題解決事例

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来島どっく支線鉄塔塗装工事(カーボマスチック15J)報告書(1985年)

1985年8月22日、四国電力新居浜送電所管轄(現松山送電所)の来島どっく支線の鉄塔塗装工事が行われました。
当時の工事報告書を写真はスキャナーで読み込み、文書は打ち直しました。

来島どっく支線は、当時(1985年前後)は造船業の最盛期でもありました。
隣接する造船会社の関係で、塗装工事にともなう停電作業が最大3日しか取れない状況でした。
真夏の暑い盛りであり、四国の南海上に台風の居た影響もありまして、「フェーン現象」で、外気温が38度になる猛暑でもありました。
所定の素地調整を行い、塗装作業カーボマスチック15Jシルバー(現アルミ)」を塗装しました。あまりの暑さで、可使時間(ポットライフ)が想定した以上に短い状態でありました。

このままでは猛暑のなかでの施工は困難です。停電時間は限られています。新居浜送電所、施工業者、私との間で「緊急協議」しました。その結果、古い風呂桶を施工業者側がかまえる。氷を私が今治の市場で購入する。

氷のなかでカーボマスチック15Jを冷やしました。そうしますと、たとえ外気温が35度でありましても、塗料の液温が26度になりました。混合しましても問題はなく、塗装は順調でした。 (追い込まれると人間皆知恵を出すものだと思いました)

1)来島どっく支線塗装立会い報告書

立会日 1985年8月22日、23日
天気 晴れ 外気温平均35度 湿度40%

2)立会い者  

四国電力(株)新居浜送電所
吉岡係長様 伊藤様 他1名
四国電気塗装(株)
千葉様、藤原様、井上様
株式会社 NC商会 西村

3)塗装仕様

素地調整  3種ケレン
表面をワイヤブラシ、マジックロン等で錆、白錆を除去します。
また異物は完全に排除します。

下塗 カーボマスチック15Jシルバー(現アルミ) 70u 刷毛塗り

上塗 カーボマスチック15Jグレー           70u 刷毛塗り

4)結果

約13年経過した亜鉛メッキ面は、海塩粒子の影響もあり、白錆の発生が著しく、亜鉛の被膜の薄いボルト部は赤錆が発生していました。(1980年7月19日に現地調査し報告しています)
素地調整は主に、マジックロンを使用し、特に鳥の糞の除去には難航しましたが、全体は良い素地調整でした。素地調整後の亜鉛メッキの膜厚は、100u前後ありました。

カーボマスチック15J 70u 2回塗りについて
塗装開始時は、外気温が35度を超え、可使時間が非常に短く、高温時の施工方法について色々な質問がありました。今回は混合容量を少なくしたり、氷などで塗料を冷やすことにより、可使時間を長くする方法で上手く施工いたしました。

5)結びに

9月12日、新居浜送電所佐伯所長様も来島どっく支線現場へ出向かれました。最終検査が行われました。
膜厚検査でも十分な値が得られました。本物件は海に隣接し厳しい条件下ですが、従来の塗装システムより長期の耐用年数が期待できます。
本塗装工事は、新居浜送電所の皆様の適切な管理の下に、万全な施工ができました。施工業者の皆様も猛暑なか適切な塗装作業を実施いただきました。
カーボマスチック15Jシステムを採用頂いたことに改めて感謝いたします

今後の成果を期待します。 (書類作成日 1985年9月25日)

NO1
海に近いです。背景に見えます来島海峡は船舶往来の激しい海峡です。NO1は近くはみかん畑でした

NO2
NO2は民家のすぐ裏にありました。鉄塔基礎が入り江のなかにありました。

NO3
NO3は工場団地のなかにあります。

NO5
は来島どっく構内にあります。

NO4
の林の奥には海水浴場がありました。立ち会いをしている時も、浮き袋を抱えた子供ら通りました。

素地調整の様子です。マジックロンなどで丹念に行いました。

素地調整後の亜鉛皮膜の膜厚測定をしています。平均100u前後でした。

塗料の混合の様子です。カーボマスチック15Jシルバーです。
基剤はシルバー色しています。
硬化剤はからすみ色(茶色)です。容量で1対1で混合しますとシルバー色の塗料になります。

奥に見えますのが古い風呂桶です。液温は26度でした。
(氷を入れ蓋をし、塗料缶ごと冷却しました)
電動攪拌機で混ぜています。混入する前に、基剤、硬化剤それぞれ混ぜると均一になります。電動攪拌機が使用できない現場では、棒などで丹念に混ぜてください

それぞれ丹念に混ぜましたらいよいよ混合です。
少量を混合する場合は、棒などに均等に目盛りをつけますと、「1対1」の混合比がより正確に出来ます。

下部鉄塔部でテスト塗装しています。NO4鉄塔です。

下部鉄塔部で、ウエット膜厚測定 をしています。  カーボマスチック15Jの場合、刷毛塗りであれば、ウェット膜厚が100uあれば、70uのドライ膜厚が確保されます。

塗装作業の様子です。混合前に冷却した塗料を手早く開缶し、小分けし塗装技能士に手渡します。
そして鉄塔上部から塗装作業をし、下部へ降りてきます。

アングルとコンクリート接合部です。

昇降防止柵です。

アングル部と、ボルト部です。

最終検査の様子です。膜厚も確実でありました。